季節の野菜ごよみ
野菜の見方がほんの少し変わる、日本の四季と野菜にまつわるちょっといい話
2018年11月12日(月)
ほっこり甘~い♪ 焼き芋が美味しいのはなぜ?
江戸時代から人気のおやつ
実りの秋真っ盛り、店頭にも採れたてのお芋がズラリと並ぶ季節になりました。
秋風がひんやりしてくると、ほっこりと温かい焼き芋が食べたくなりますね。
大人も子どもも大好きな焼き芋、その歴史は意外と古いようです。
さつま芋の栽培が盛んになった江戸時代、はじめは蒸し芋を売る店ができましたが、その時はさほど注目されませんでした。
ところが焼き芋が現れると、「栗より美味しい!」と途端に大人気に。いくつもの専門店が誕生し、朝6時から夜10時まで営業している店もあったといいます。
焼き芋は『安い、旨い、手軽』という、まるで今のファーストフードのようだったそうで、その人気は庶民から武士まで、老若男女、身分を超えた一大ブームとなりました。
長い時を超えて、今でも変わらず愛され続ける焼き芋、その美味しさの秘密とは…?
焼き芋が甘い理由を科学する
さつま芋は、蒸すよりも焼き芋にした方が甘く美味しくなるのは、なぜでしょうか。
みなさんは、美味しい焼き芋が食べたいと、さつま芋をレンジでチンしたけどあまり美味しくなかった…、そんな経験はありませんか?
さつま芋が甘く美味しく焼けるための温度は40~70度くらい、低温でじっくりと加熱する必要があるので、基本的には高温で短時間加熱するレンジ調理は焼き芋には不向きなのです。
(最近はネットなどで、レンジでも美味しく焼き芋が作れる方法が紹介されていますね)
この温度は、さつま芋に含まれている酵素が活発に働く温度。酵素が元気に働くことで、さつま芋にたっぷり含まれているデンプンを次々に糖に変えていき、お芋がどんどん甘くなっていくのです。
そのため、デンプンが多く含まれている品種や、もともと糖度が高い品種のさつま芋は、焼き芋にするととっても甘く美味しくなります。
安納芋が有名ですが、他には紅はるかなども焼き芋におすすめの品種です。
安納芋の美味しさの秘密に迫る!
とろりとして濃厚な甘み、焼き芋の人気品種、安納芋はなぜあんなに美味しいのでしょうか。
ひとつは他のさつま芋と比べてショ糖が多く、生の状態で16度前後と非常に高糖度!それをじっくりと時間をかけて焼くことで、糖度が40度前後にまで上がります。
また、オクラや山芋などに含まれているネバネバ成分の多糖類や水分が多いため、あのようなネットリとした食感があるのだとか。
さらに、安納芋が誕生した由来も、その美味しさを裏付けています。
安納芋が登場したのは今から20年前。種子島で作られていた美味しいさつま芋を集めて優良品種の選抜を行い、良いとこ取りで作られた品種なのだそうです。
どうりで美味しいはずですね。
みかさの国産野菜パウダーにも、「焼き安納芋パウダー」があること、ご存知ですか?
鹿児島県産の新鮮な安納芋を、みかさ独自の特別な技術で焼き芋化した、香ばしくて甘いパウダーです。
そちらもぜひ使ってみてくださいね。